五月人形の選び方|種類の違いと、兜を選んだあとに見る3つのこと
男の子の初節句が決まり、五月人形を見に行くことになった方も多いでしょう。ただ、兜と鎧が並んでいても、何がどう違うのか分からないですよね。この記事では種類の違いから、兜に決めたあとの見分け方まで解説しているので、読み終えた後には自分の目で選べるようになります。
この記事でわかること
- 五月人形の種類は、兜飾り・鎧飾り・大将飾りの3つです
- 兜と鎧は込められた意味が同じで、違うのは飾りの大きさです
- 兜に決めたあとは、鍬形の形と頭裏の作りを見ると差が分かります
- 誰が買うかは、五月人形を選ぶより先に決めておきます
※本記事は2026年10月時点の情報です。
五月人形の選び方は、種類を知るところから始まります
五月人形の選び方でいちばん先にすることは、どの種類を見るかを決めることです。
五月人形とは、端午の節句に飾る、男の子のための飾りのことです。兜や鎧をかたどったものが中心で、子どもの身代わりとなって厄を引き受けるという意味が込められています。武家が梅雨の前に鎧や兜を出して手入れをした習慣が、その始まりとされています。
種類が決まらないうちに値段や大きさを見ても、比べるものがそろいません。先に決めるのは、金額ではなく種類です。
五月人形の選び方に、決まった順番はありません
五月人形の選び方に、こうしなければならないという順番はありません。ただ、迷いが少ないのは「種類 → 作り → 大きさと予算」の順です。
五月人形は種類が変わると、飾りの大きさも値段の幅もまるごと変わります。ですから種類を決めないまま値段だけを見比べると、別々のものを同じ表で比べている状態になります。まず自分が五月人形のどの種類を見ているのかを、はっきりさせてください。
予算と場所は、五月人形の選び方の最後に決めます
予算と飾る場所は大切ですが、順番としては最後です。種類が決まれば、見るべき値段の幅も必要な場所の広さも、自然に絞られていきます。
先に予算だけを決めてしまうと、その金額で買える五月人形の種類の中からしか選べなくなります。選択肢が狭まってから選び始めることになるため、あとで「別の種類も見ておけばよかった」となりやすい五月人形の選び方です。
五月人形の種類は、兜・鎧・大将飾りの3つです
五月人形の種類は、大きく兜飾り・鎧飾り・大将飾りの3つに分かれます。
五月人形の兜飾りは兜だけを飾るもの、鎧飾りは鎧と兜をひとそろいで飾るもの、大将飾りは甲冑をまとった子どもの人形を飾るものです。この3つの中で、店に並ぶ数がいちばん多いのは兜飾りです。
同じ「五月人形」という名前で呼ばれていても、この3つの種類は飾ったときの姿がまったく違います。
五月人形の種類ごとに、必要な場所が変わります
五月人形の種類を決めると、必要な場所の広さもほぼ決まります。兜飾りは棚の上に置ける大きさのものが多く、鎧飾りは床に置く飾り台を使うものが増えます。兜飾りの中には、飾り台がそのまま箱になる収納飾りもあります。
このため「置く場所は決まっているが、種類はまだ決めていない」という順番だと、話が前に進みません。場所から種類を決めるのではなく、種類を決めてから場所を測るほうが、迷いが少なくなります。
大将飾りの五月人形は、顔で選ぶ飾りです
大将飾りの五月人形は、甲冑をまとった子どもの人形です。子供大将とも呼ばれ、兜や鎧よりもやわらかい印象になります。
兜飾りや鎧飾りが道具の飾りであるのに対して、大将飾りは人形の飾りです。ですから選ぶときに見るところも変わります。甲冑の作りよりも、まず顔立ちを見てください。同じ武将の名を冠していても、工房によって表情はかなり違います。
鎧の五月人形は、飾ると場所を大きく取ります
鎧の五月人形は、3つの種類の中でいちばん場所を取ります。鎧一式に加えて、弓と太刀、屏風、飾り台がそろうためです。
ただ、これは欠点ではありません。鎧一式をそろえた姿と、兜だけを取り出した姿は、どちらが正式ということはありません。全身がそろった姿を飾りたい方にとっては、鎧の五月人形が答えになります。
五月人形の兜と鎧は、意味が同じで大きさが違います
五月人形の兜と鎧のどちらがよいかで迷う必要はありません。込められた意味が同じだからです。
兜と鎧は、どちらも武士が身を守るための道具でした。そこから、子どもを災いから守る、子どもの身代わりになって厄を引き受ける、という意味が生まれています。この由来は兜だけのものでも、鎧だけのものでもありません。
違うのは、飾りとしての大きさとパーツの数です。意味では選び分けられません。
五月人形の鎧と兜は、どちらも身代わりの意味を持ちます
五月人形の鎧と兜には、身代わりという同じ意味があります。武士が戦の前に神社へ鎧兜を納め、身の安全を願った風習が知られています。
ですから「鎧のほうが意味が強い」「兜では足りない」ということはありません。どちらを選んでも、込められた願いは変わりません。ここで迷いが一つ減るはずです。
鎧の五月人形を選ぶ人は、どこに惹かれているのか
鎧の五月人形を選ぶ方が見ているのは、全身がそろった姿の迫力です。胴、袖、腰まわりを覆う草摺(くさずり)といった部分まで作り込まれており、近くで見ると、鎧を組み立てている小札(こざね)という小さな板の一枚一枚が分かります。
飾る手間は兜飾りより増えます。それでも、毎年その手間をかけること自体を行事として楽しむという選び方があります。場所と手間に余裕があるなら、鎧の五月人形は十分に候補になります。
兜の五月人形は、選んだあとにもう一度選びます
五月人形の兜に決めたあとが、いちばん迷うところです。
五月人形の兜飾りは種類が多く、並べて見ると同じような形に見えます。ところが値段には数万円の開きがあります。この差がどこから来ているのかは、見るところを知っていれば分かります。
五月人形の兜で見るのは、鍬形の形、頭裏の作り、前立ての意匠の3つです。この3つを見るだけで、同じに見えていた兜が違って見えます。
兜飾りの鍬形は、形で五月人形の印象を変えます
鍬形(くわがた)とは、兜の正面に立っている、二本の角のような金具のことです。この形には名前が付いていて、大きく3つに分かれます。
- 大鍬形:先端の幅が広い形。南北朝の時代から好まれてきました
- 中鍬形:大鍬形より小ぶりな形。室町時代に小型化して生まれました
- 長鍬形:細長く伸びた形。鎌倉時代の後期に流行しました
兜飾りの商品名に「大鍬」「中鍬」と書かれているのは、この鍬形の違いを指しています。形が変われば、兜全体の印象も変わります。幅の広い大鍬形はどっしりと、長鍬形はすらりと見えます。好みで選んで構いません。
五月人形の兜は、裏側に作りの差が出ます
五月人形の兜を見比べるとき、いちばん差が出るのは表からは見えない部分です。値段の違いは、見えないところの手間に表れます。
見るところは決まっています。
- 頭裏:兜を伏せて内側を見ます。布を貼っただけのものと、鹿革を張ったり手縫いの刺し子を施したりしたものがあります
- 鍬形の金属:真鍮は重く、アルミは軽く仕上がります。手打ちの彫りと機械の型押しでは、縁の揃い方が違います
- 小札:革や和紙に漆を塗ったものと、鉄板にメッキをかけたものがあります
- 縅糸(おどしいと):鎧兜の板をつなぐ糸です。正絹は色の出方が違い、打ち込みが詰まっています
- 鉢:兜の本体です。鉄板を矧(は)ぎ合わせたものと、一体で鋳込んだものがあります
すべてを見分ける必要はありません。五月人形の兜を持ち上げて頭裏を見る。これ一つで十分です。見えない場所に手が入っているものは、ほかの部分にも手が入っています。
武将の五月人形は、願いを重ねて選ぶ飾りです
武将の名を冠した五月人形は、前立て(まえだて)の形で見分けられます。前立てとは、兜の正面に付ける飾りのことです。
- 伊達政宗:三日月
- 上杉謙信:日月(じつげつ)
- 徳川家康:歯朶(しだ)。子孫の繁栄を表す形とされています
- 織田信長:木瓜紋(もっこうもん)
武将の五月人形は、その人物にあやかりたいという願いを重ねて選ばれます。ただし、五月人形でどの武将を選ばなければならないという決まりはありません。
人気の武将が決まっている五月人形の選び方
すでに好きな武将がいる場合、五月人形の選び方はぐっと簡単になります。前立ての形で探せるためです。
決まっていない場合は、五月人形を武将から選ばず、形から選ぶほうが早く決まります。三日月のようにすっきりした形が好きか、歯朶のように広がる形が好きかで絞り、その結果として武将が決まる、という順番です。人物像から選ぼうとすると、調べることが増えて止まりやすくなります。
五月人形を誰が買うかは、選び方より先に決めます
五月人形を誰が買うかが決まらないと、予算が決まらず、選ぶ作業に入れません。
五月人形は祖父母から贈られることが多く、金額の話が家族のあいだの話になります。ここが宙に浮いたまま店を回ると、気に入ったものが見つかっても決められません。
順番としては、種類を決めるのと同じくらい早い段階で片づけておくものです。
五月人形を誰が買うかは、関東と関西で習慣が違います
五月人形を誰が買うかには、地域による違いがあります。関東では五月人形を母方の親が贈り、関西では父方の親が贈るという習慣が伝えられています。
ただし、これは決まりではありません。近年は両家で話し合って決める形が増えており、母方が五月人形を、父方が鯉のぼりを用意するというように分けることもあります。関東にお住まいでも、五月人形をどちらの家が用意するかに決まりはありません。関東の習慣を知っておく意味は、五月人形の話を切り出すときに、相手がどの前提でいるかが分かることです。
五月人形を誰が買うか決まらないときの進め方
五月人形を誰が買うか決まらないときは、金額ではなく条件から伝えてください。「予算はいくらまで」ではなく、「置ける場所がこの広さなので、この種類で探している」という伝え方です。
条件から話すと、贈る側も選びやすくなります。金額の話が、飾る場所の話に変わるためです。両家から現金でお祝いをいただき、両親が選ぶという形も広く行われています。
買ったあとに後悔しない五月人形の選び方
五月人形で後悔が起きるのは、買う前に決めていなかったことが原因です。
値段が高いか低いかではありません。飾ってみて初めて気づくこと、しまうときに初めて気づくことが、そのまま後悔になります。
先に知っておけば避けられるものばかりです。
五月人形の種類は、あとから買い替えられません
五月人形の種類は、あとから変えることが基本的にできません。五月人形は一人につき一つとされており、買い直す前提の飾りではないためです。
屏風や飾り台は後から替えられます。しかし兜飾りを鎧飾りにすることはできません。ここだけは、迷ったまま決めずに、実物を見てから決めてください。
五月人形の選び方で起こりやすい後悔
よく聞くのは、しまう場所を考えていなかったという後悔です。飾ったときの姿だけを見て決めてしまい、箱に入れた状態の大きさを測っていなかった、という形で起こります。
もう一つは、種類を決めずに値段から入ったという後悔です。費用は抑えられたが、飾ってみたら思っていたものと違ったという結果になります。どちらも、種類 → 作り → 大きさと予算という順番を守れば避けられます。買わないという選択をされるご家庭もあります。それも含めて、納得してから決めてください。
五月人形の種類と選び方のよくある質問
五月人形の選び方について、店頭でよくお尋ねいただくことをまとめました。
- 兜飾りと鎧飾りは、どちらを選ぶべきですか?
-
どちらでも構いません。込められた意味は同じで、違うのは飾りの大きさとパーツの数です。飾る場所と、毎年出し入れする手間をどこまで許容できるかで決めてください。
- 五月人形は兄弟で一つでもよいのですか?
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一人につき一つとされています。五月人形は子どもの身代わりとして厄を引き受けるものなので、分け合う形にはなじみません。二人目には、小さめの兜飾りや大将飾りを用意するという形があります。
- 兜飾りの鍬形の大鍬・中鍬とは何ですか?
-
兜の正面に立つ金具の形の名前です。先端の幅が広いものが大鍬形、小ぶりなものが中鍬形、細長いものが長鍬形です。値段の差ではなく、形と印象の違いです。
- 武将の兜は、その武将にあやかるという意味ですか?
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そのように選ばれる形です。ただし決まりではありません。武将から決めようとすると迷いが増えるので、前立ての形の好みから選んでいただいて構いません。
- 五月人形は誰が買うものですか?
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五月人形は関東では母方、関西では父方という習慣があります。現在は両家で相談して決める形が増えています。決まらないときは、金額ではなく置ける場所の条件から伝えてください。
まとめ|五月人形の選び方は、決める順番で決まります
五月人形の選び方は、種類を決めるところから始まります。兜飾り・鎧飾り・大将飾りの3つは、飾ったときの姿も必要な場所もまるごと違います。先に決めるのは金額ではなく種類です。
兜と鎧に込められた意味は同じで、違うのは飾りの大きさとパーツの数です。意味では選び分けられません。どちらを選んでも願いは変わりませんから、飾る場所と手間で決めてください。
兜に決めたあとが、本当の選び方の始まりです。鍬形の形、頭裏の作り、前立ての意匠。この3つを見ると、同じに見えていた兜が違って見えます。兜を持ち上げて頭裏を見る——まずはこれ一つで十分です。
そして五月人形を誰が買うかは、選び方より先に決めておいてください。金額ではなく条件から伝えると、話が進みます。
人形の諏訪では、兜飾りと大将飾りをご用意しています。鍬形の形のことでも、頭裏の作りのことでも、迷われたところからお聞かせください。実物を手に取っていただくのが、いちばん早い近道です。
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